食の安全コースの2019年の研修では、6月16日から26日まで5名の鹿児島大学の学生をオクラホマ州立大学へ派遣し、8月の17日から26日までに10名のメーファールアン大学の学生を受け入れました。また9月の16日から25日までに18名の鹿児島大学の学生をメーファールアン大学へ派遣し、琉球大学からも1名このメーファールアンでのプログラムに参加したため、合計で19名となりました。
海外と鹿児島の両研修では、まず始めに食品工場の品質保証担当者の方へのインタビューを通して、自国の食の安全への取り組みとの違いを理解するために、学生たちはいくつかの食品工場を回りました。これらの現地活動により、5~6人の学生グループはCOIL活動の最終的な目標としてHACCPに基づいた食の安全プランを作成しています。 (HACCP: Hazard Analysis and Critical Control Point)
これらの研修は基本的に8日間で行われます。鹿児島大学の学生は、海外研修前の事前準備として、GFSI(Global Food Safety Initiative)がベンチマークとしている日本の規格であるJFS-C規格の構造を理解するための勉強をしました。実地研修では、参加者全員で工場見学を行ったほか、品質保証担当者との質疑応答の機会を設けました。大学のキャンパスに戻った後、学生たちは日本の鹿児島と海外の食品製造システムの違いについて話し合いました。
アメリカの工場見学では、鹿児島に比べて生産規模が大きい企業が多かった。しかしながら、鹿児島の企業の食の安全活動の中には、清潔さや効率性に優れていると認められるものがあるという発見は、本学の学生にとって大きな発見であり、驚きだったようです。これらの工場見学の体験は、学生が近い将来に食品業界で働く機会がある際に役立てられる事が期待されます。
タイでの工場見学では、学生たちは日本との共通点や相違点についても話し合った。従業員100~150人の中規模企業に加え、従業員20人以下の小規模企業を訪問し、製造部門の担当者との質疑応答を通じて、タイの食品業界の問題点の把握に努めました。
鹿児島には小規模な食品企業が多いが、タイの小規模企業の方が食品安全基準への理解や取り組みが進んでいるケースが多く、これらの知見は、鹿児島の食の安全活動を学ぶ学生にとって大きな刺激となったようです。
8月に鹿児島で行われた研修で貴重な経験となったことのひとつは、このプログラムに強い関心を持っているメーファールアン大学、鹿児島大学、ラジャマンガラ工科大学(タイ・イーサン)の3大学で食品安全プログラムを実施することができたことです。
グループワークでは、ロールプレイを実施しました。まず、「模擬企業」を立ち上げ、各グループ内に社長を含む企業担当者を配置し、訪問先の工場の情報をもとに「模擬」製品の食品安全計画を作成しました。用意された各食品安全計画は口頭発表で共有され、HACCP計画ではどのプロセスがCCP(重要管理点)になるのか、食品安全計画ではどのようにCL(重要限界値)を設定するのが適切なのかを学生全員で話し合いました。
8日間という短い期間で実施したため、各グループの食の安全計画は完成しませんでしたが、学生同士のSNSや遠隔会議システムを活用して、完成に向けて引き続き頑張っています。
また、学生たちは、鹿児島魚市場のスタディツアーにも参加しました。フィールドトリップのビデオは下の画像をクリックしてご覧いただけます。