JENESYS 2022 フェーズ2 フィジー派遣に参加して

医学部保健学科3年 間伏 柚乃

私は2024年2月13日から20日までJENESYS 2022 フェーズ2 フィジー派遣にてフィジーに渡航した。JENESYSとは、日本とアジア太平洋、北米、欧州、中南米の各国・地域との間で、将来を担う人材を相互派遣し、お互いの国への理解を深め、見聞したことを積極的に情報発信することで、日本の外交基盤を草の根レベルで拡充することを目的とした外務省の事業である。

私が今回このプログラムに参加したのは、グローカルに活躍できる看護師になるという今後の目標により近づくためである。この目標に向けて現在は日本有数の離島数と離島人口を誇る鹿児島で看護を学び、昨夏は海外インターンなどを経験しながら国際交流も行ってきた。その中で格差がある地域では、医療だけでなく食や環境、教育など人々の生活そのものに寄り添い、アプローチしていく必要があると学んだ。今回のフィジー派遣では教科書やインターネット上では得ることができない「リアル」を自分の目で見て、さらに異文化交流も合わせたより価値あるものを経験して、これからに活かしたいと考えた。

【~活動~】

  • 1日目

成田空港から飛行機でナンディ国際空港へ。首都スバへ移動し日本大使館を表敬訪問。

  • 2日目

JICAフィジーオフィスを訪問。太平洋島嶼国の気候変動、廃棄物などの課題や行っている活動、SDGs14「海の豊かさを守ろう」プロジェクトについての講話を聴く。

午後はJICA海外協力隊の活動視察を行う。

ここでセブセブの儀式を体験。

これはフィジーで伝統的に行われているもので、訪問客を歓迎するための儀式。

ヤンゴナという胡椒科の木の根を粉末にし、タノアを呼ばれる大きな木鉢の中で布を用いてこして水に溶かしたもの。この飲み物はカバと呼ばれ、味は現地の人も顔をしかめるほどで、麻酔成分が含まれているため、舌が少し痺れる感覚がある。この儀式が終わると、村人たちは家族のように迎え入れて、一緒にダンスを踊った。

夜はJENESYS閉会式典に参加。

  • 3日目

南太平洋大学(USP)を訪問。日本の学生から環境問題に関するプレゼンテーションを行い、USPの生徒と意見交流を交わした。

異文化交流では、日本からは折り紙や書道、だるま落としを紹介。USPの生徒からは伝統ダンスを教わり、民族衣装体験などを行った。

午後は博物館、マーケットを訪問。

  • 4日目

マングローブの植林体験。学校で学ぶマングローブがどのような役割を果たし、どのように育つのかを学んだ。

午後はOISCA研修センターを訪問。生ごみから堆肥を作るコンポストなどを視察。

  • 5日目

マナ島にて環境保全活動の講義を受け、どのように美しい海を守っているのかを学んだ。また、珊瑚の養殖体験を行い、伝統モノづくりを体験。

  • 6日目

ナワカ村を訪問。村を見学させていただき、帰り際には村人たちとダンスを踊った。

午後はゴミのリサイクルに関する講義を受けた。

その後このプログラムの最終報告会を行った。

  • 7日目

帰国。

このプログラムを通して、目的としていたフィジーの人々の生活のリアルを見ることができた。さらに医療の視点では食生活や運動習慣などから糖尿病の罹患率が高いことを肌で感じることができ、将来看護師になった際に人々の生活そのものに寄り添い、多面的にアセスメントする重要性を再確認できた。

また、一番印象に残っているのはセブセブの儀式である。カバを飲むと村人たちはまるで家族のように温かく私たちを受け入れてくれ、一緒にダンスを踊り、幸せ溢れる時間を過ごす。フィジーが世界一幸せな国と言われるその理由は、この人々の温かさにあるのではないかと感じた。人々の生活を見ると決して経済的に豊とは言えず、俗に言う幸せな暮らしからは程遠いと思う人もいるかもしれない。しかし、南国ならではのゆっくりとした時間が流れていて「今」を生き、様々なものを共有する文化があり、人とのつながりを大切にする。そこに幸せを見出して生活しているフィジーの人々のことを考えると、幸せはその地の人が何をもって幸せと感じるかという感覚や価値観であると考え、自分にとっての幸せとは何かについて考えるきっかけとなった。

そして、このプログラムはこれまで述べたような素晴らしい経験が得られるのみでなく、全国から選び抜かれたアツい仲間と出会えることも大きな特徴の一つである。専攻する分野は違うが、それぞれの視点からの考えを共有できることは私にとって大きなモチベーションとなった。プログラムが終わると1週間を共にした仲間は国内だけではなく世界に散らばるが、また近い将来再開できることを心から楽しみにしている。

JENESYSはこれからも続いていくプログラムであり、私は今回フィジー派遣に参加したが、ほかにもアジア太平洋地域への派遣が行われている。興味がある人はぜひ参加してみてください。

最後にこの場をお借りし、このような素晴らしい機会を提供してくださったJOCA、外務省、USPの皆様に心より御礼申し上げます。