Bonjour!
法文学部人文学科4年の中村です。
私は、2015年8月末から2016年5月までフランスのレンヌ第二大学へ留学していました。
フランスといえば、パリ、高級ブランド品、フランスパン、ワイン、アコーディオンが聞こえてくるような優雅な生活を思い浮かぶ方もいるかと思います。
しかし、フランスはそれだけではありません。
それ以外にも魅力がたくさんあります。
フランスでの生活や様々な人との対話を通してたくさんの発見がありました。私の留学生活の概要をご紹介します。
レンヌはブルターニュ地方の中心都市で、パリからTGVで2時間の位置にあります。フランス有数の学生都市でもあり、活気があります。レンヌの人たちは基本的に優しく歓迎してくれる雰囲気があります。大学からレンヌの街中へは近く、鹿児島大学から中央駅、天文館ほどの距離です。買い物に行くにも、友達と飲みにでかけるにも便利な位置にあります。 世界遺産モン=サン=ミッシェルへも近く、レンヌからバスが出ています。
学校生活
レンヌ大学には第一大学と第二大学があり、第一大学では主に理系、第二大学では文系の学問を学ぶことができます。学生数は約24000人です。毎年2600名ほどの留学生が交換留学枠、個人枠でレンヌ大へやってきます。
日本人学生の数は、学期によって変動はありますが、毎期20人ほどいます。一定水準以上の語学力があれば、大学で講義を受けることができますが、そうでなければ大学附属の語学学校(CIREFE)でフランス語を学ぶことになります。前期は9から12月、後期は2から5月の日程です。週に16時間ほど授業がありました。アジア、アメリカ、ヨーロッパなど世界中からさまざまな人が、さまざまな理由(大学生、移民、結婚相手がフランス人など)でフランス語を学びに来ています。
文法の授業などに加えてB1レベルからは選択授業があり、映画、口語練習、作文練習、歴史、文学、現代美術、フランス語圏文化、世界の中のフランスから一つ授業を選ぶことができます。私は二期とも文学を選び、フランス、またはフランス語圏の作家たちの作品(詩、小説、演劇、バンドデシネなど)に触れました。詩や、演劇を学ぶにあたっては、実際に声を出して音の美しさやリズムを味わうことができました。
また、Atelierというクラブ活動も語学学校の中で開かれており、演劇、歌、新聞、映像制作、音楽などの活動を通してフランス語を学ぶこともできます。
CIREFEでは授業以外にも、パーティや小旅行などのイベントがよく企画されています。私は演劇、オペラ、アーサー王伝説のブロセリアンドの森への遠足、モンサンミッシェル等の企画に参加しました。レンヌの町やブルターニュを知るにもちょうどいいプランが盛りだくさんです。この企画のお手伝いにレンヌ大学の学生もいるので、フランス人の学生とも交流ができます。
大学には二つ図書館があり、学習資料は豊富だと思いました。日本のアニメのDVDも置いてありました。
食堂も二か所があります。片方がストライキで利用できない日もありました。学生たちもデモ行進等を企画し、積極的に参加していました。2015年は特に労働法に対するストライキやデモが多かったようです。学外のストライキもあります。交通機関が動かず困ることもありますが、フランス人はお互い様と割り切って我慢しているようです。
寮生活
交換留学生は優先的に大学の寮に入ることができます。住宅補助があるので、月に130~160€ほどの家賃です。古い寮と新しい寮があり、私は鹿児島大学に留学していた友人が住んでいた古い寮を選びました。
新しい寮はビジネスホテルのようで、キッチンのみ共用です。日本の他大学の学生はほとんど新しい寮に入っていました。古い寮は、トイレ、シャワー、冷蔵庫、キッチンが共用でした。毎日寮の方が掃除していたので、ある程度清潔でした。
二つとも取っ手が壊れている引き出し
私が退寮する頃、改修工事がはじまるところでした。それだけ古かったのかもしれませんが、しかしあの窓が懐かしい。
週末・バカンス
日曜日はほとんどお店が閉まります。ショッピングを楽しむ週末というよりは、誰かと散歩したり、公園にでかけたりすることのほうが多いかもしれません。
私は毎週土曜日に街で開かれる市、Marché des Licesで買い物をするのが好きでした。たくさんの新鮮な野菜や、魚介類、が朝早くから並びます。有機の食材も見つけやすく人気があります。お花や観葉植物もたくさん売っています。市場の人と話をしたりして、朝から元気がもらえます。パンやガレットのおいしそうなにおい、数が多すぎるチーズ。見ているだけでわくわくします。味見をさせてくれることもありました。市場で演奏をする人もいます。目にも耳にも口にも鼻にも、楽しい市場です。これだけ大きな市場を毎週朝から開催する、人々の活力に感動しました。
たびたびやってくるバカンス(長期休暇)では、ヨーロッパ旅行も計画できるでしょう。学生や25歳以下の人は、列車のチケットが割引になったり、美術館に無料で入れることが多いです。Carpe Diem !
おしゃべり好きなフランス人は、バカンスのこともよく話題にします。「あの岬はとってもきれいだよ」「あそこはリエットが名物だよ」などなど。行ってみたいところ、やってみたいことのリストは、人に逢うたびに増えていきました。
ブルターニュ旅行をするなら、傘が必須でしょう。レンヌの天候は変わり易く、冬季は曇りの日、雨の日も多いです。しかし、雪は降らず比較的過ごしやすい気候です。思い返せば、鹿児島の冬より暖かかったような気がします。
急な雨にもブルターニュの人たちは慣れっこなので「これがブルターニュの天候だよ」と嬉しそうな顔で教えてくれます。
ブルターニュ地方は、その歴史や豊かな自然から文化や食に地方色が強く表れています。ガレット、シードル、塩バター、キャラメルなどおいしい特産品がたくさんあります。
レンヌから少し足を伸ばすと、立派なお城のある町がいくつもあります。また、海に囲まれたこの地方は素晴らしい風景の見られる岬、海岸が多いです。
最後に
交換留学を通して、フランス人の生活に入りこんでみて、生き方の違い、考え方の違いなどを感じ、とてもよい刺激になりました。
刺激、驚き、、Oh la vache!
自分もこのように生きてみたい、と参考にしたくなるような生き方をしている人ととの出会いもありました。
それから、ヨーロッパ留学中の友人を訪ね合えたことも貴重な経験でした。
慣れない土地でうまくいかないこともたくさんありました(フランスは特に手続き等が面倒)。しかし、今ではそれを当たり前だと思えるような心構えが身についたのではないかと思います。
また、美術作品や演劇などに触れたり、観光して自然やお城などを目にし、非常に感動しました。しかし同時に、自分の国はどうなのか、日本の文化もどれだけ面白いものかなのか知りたい、美しい風景を味わいたいと強く思うようになりました。
大学には、留学できるチャンスがごろごろころがっています。
フランスへの交換留学枠も増えました。
留学に行ってみたいと思っても、不安になることが多いかもしれません。
しかし、相談にのってくれたり、背中を押してくださる先生や先輩がいます。
長期の留学では、現地の人の生活に入りこみ、その真髄に迫ることができる時間が設けられていると思います。私もその生活に少しは浸ることができたのではないかと思っています。お世話になった方々に感謝しています。
人生においてはめったにないチャンスかもしれません。留学へ行ってみたいという学生さんは、その好奇心をぜひ大事にしてほしいと思います。
Au revoir!