スペイン・バレンシア工芸大学に留学

法文学部人文学科4年の吉田智貴と申します。私は2018年8月から2019年6月までスペインのバレンシア工芸大学に留学しておりました。これより私の留学経験について紹介させていただきます。


ヨーロッパ南部のイベリア半島に位置するスペイン王国ですが、バレンシア州は地中海に面しており、一年を通して比較的温暖な気候が広がっております。オレンジが世界的に有名な地域ですが、パエリアの発祥地として、また芸術科学都市という建築物も有名です。


私はバレンシア中心部から電車で1時間ほど離れた、ガンディアと呼ばれる街にあるキャンパスにて留学生活を送っておりました。ガンディアには素晴らしい砂浜が広がっており、夏にはマドリードなどスペイン国内からだけでなく、ヨーロッパの様々な国から旅行客が訪れる場所です。
バレンシア州では特に、3月に行われる伝統的な火祭り(Las fallas)がとても有名です。このお祭りに向けて、市民の方々は大きな人形を町のさまざまなところに作り、最終的にそれを燃やして盛大に祝います。
私はバレンシア工芸大学のツーリズム学部に属していたので、それに関連する分野を学びました。特に、ビジネス向けの英語の授業では、異文化間でのコミュニケーション、グループワーク、プレゼンの仕方からネゴシエーションについてなども学びました。また、外国人留学生向けのスペイン語の授業も受けていました。この大学が開講するスペイン語の授業は週に2回だったので、それ以外は基本的に独学でスペイン語を学びました。留学生活前半ではスペイン語力は十分とは言えなかったものの、半年を過ぎ留学生活後半からは少しずつ、スペイン語でコミュニケーションをとるということを楽しめるようになっていきました。
私はスペインの言語と文化、歴史について興味があり、交換留学を決めたこともあったため、出来る限り現地の方々と交流することを心がけて生活しました。何気なく生活していると、つい外国人同士や留学生同士で過ごす機会が多くなりますが、私は現地のバドミントンクラブの活動にも参加させてもらい、よりスペイン人の生活も伺うことが出来ました。そのように現地の方々と関わる機会を通して、バレンシアの文化や食、また言語について、知る機会が得られたと思います。
スペインは食文化もとても豊富です。バレンシア地方はパエリアの発祥地であり、手頃な値段で美味しいパエリアを食べることが出来ます。お祝い事でもしばしばパエリアを見かける機会は多く、市民の生活にパエリアは身近な存在です。
また、スペインの文化、歴史を自分自身でもっと知るために、時間があるときは積極的に周辺地域を旅して、町を歩き、自分の目でしっかりと見たことも、留学生活における重要な一部であったと思います。スペインは南北で気候も異なり、言語、歴史、文化においても非常に多様性に富んだ国であると思います。特に、南部アンダルシア地方を訪れた際は、イスラム、アラビア文化の歴史の面影が残った遺跡である、グラナダのアルハンブラ宮殿やコルドバのメスキータなど、かつて聞いたことのあった遺跡を実際に間近で見たことは、今まで知らなかったその時代背景などを、より深く考える良い機会でありました。
首都マドリードやバルセロナは世界屈指のコスモポリタンでありますが、それぞれ地域で独自の文化を保持しております。またスペイン北部は南部と比べて気候もかなり異なり、雨も多く天気も頻繁に変わりがちです。その地域の中でも、バスク地方ではバスク語が、ガリシア地方ではガリシア語が話されており、なかでもバスク語はスペインの他の地域で話されている言語とは大きく異なるという特徴があります。
(スペイン北部ガリシア地方に位置する、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂)
最後に、大学の授業だけでなく、地域の方々との交流、周辺地域への周遊を通して、今まで知らなかった数多くのことを学ぶことができました。スペインでの留学を経験しなければ気づくことが出来なかったこと、また留学したからこそ見えるようになった視野を大切に、学んだことを活かして、これからも自分らしく進んでいこうと思います。