ドイツ留学の体験記

皆さんこんにちは。現在、ドイツのカール・フォン・オシエツキ―大学オルデンブルクに留学中の法文学部4年、向吉です。現在ドイツに来てから約4か月がたちましたが、こちらで経験し考えたことを今日は皆さんに共有したいと思います。

はじめに

皆さんはドイツ人の国民性に対してどんなイメージを持っていますか?私は、規律を重んじる姿勢や物の品質へのこだわり、そして時間を守るということに関して、日本人と共通点が多いと感じていました。留学前は、ドイツ人と日本人は似ているのではないかと考えていたのです。

確かに似ている部分もある一方で、もちろん違いもあります。例えば、ドイツでは個人の意見や自己主張が重視される傾向が強いのに対し、日本では集団の和や社会性を大切にするという文化が根付いています。また、コミュニケーションのスタイルも異なり、日本人は間接的な表現を好むのに対し、ドイツ人は直接的な表現を好みます。

この違いについて、私は「声」を上げる文化の違いであると捉えました。

  • 仕事文化の違いとストライキ

ドイツに来て初めて驚いたことのひとつは、日曜日にレストラン以外のお店は開いていないこと、また、深夜に開いている店がほとんどないことでした。コンビニやファミリーレストランにしばしばお世話になっていた自分にとっては、不便さを感じることもあります。しかし、これはドイツ人が便利さよりも労働時間の少なさや、家族との時間を尊重していることが表れていると思います。

日曜日に食材が無かったため友人に作ってもらったパスタ

このような日独の仕事文化の違いは、労働者の権利にも見受けられます。例えば、最近、ここオルデンブルクのバス運転士など約200人が賃金引き上げを求めて公共交通をストライキで止めるという出来事がありました。ドイツでは、労働者の権利が法律で厳格に守られており、労働組合の力も強いです。

例えば、ドイツの労働組合は賃金交渉や労働条件の改善に積極的に取り組んでおり、ストライキはその一環として行われます。

このように、ドイツでは労働者が権利侵害に対して「声」を上げ、行動を起こすことが一般的です。この文化が、労働環境の改善や労働者の権利保護に寄与していると考えられます。

日本では、超過労働、有給休暇取得率の低さなど多くの問題を抱えていますが、労働者が「声」を上げ、行動する姿勢はドイツ人から学ぶべき点があると感じます。

サンタバス

オルデンブルクのバスストライキのニュース

https://www.ndr.de/nachrichten/niedersachsen/oldenburg_ostfriesland/Erneuter-Streik-in-Oldenburg-sorgt-fuer-Probleme-im-Busverkehr,aktuelloldenburg17524.html

  • 授業を通しての発見

私はこちらの大学に来て学生たちが意見を出しあう様子を目の当たりにしました。特に印象的だったのは、戦争やジェンダー問題の話題が出た際、学生たちは、他国の問題であっても、まるで自分たちの問題であるかのように積極的に意見を述べていたことです。その授業では議論が白熱し時間が足りなくなるほどでした。

多くの学生が、社会問題への意識を抱いていることが印象的で、日本の状況とは大きく異なると感じました。

このようにグローバルな視点からコミュニケーションに参加する能力(知識と言語)を、獲得することがドイツの授業では求められているなと思います。

また、教授がしっかりと学生の意見にフィードバックを与えてくれ、一人一人の意見を尊重してくれるため、授業に参加し、意見を述べる意義が明確です。

こういった教育環境が、たとえマイノリティの立場であっても「声」を上げやすい土壌を作っているのだと感じます。

授業の一貫で見学した、ブレーメンのUボート・ブンカー(WWⅡ中の防空施設)と、風刺画

以上で述べたように、ドイツには「声」を上げる文化が根付いています。声を上げる動機はさまざまで、労働環境や戦争問題、LGBTQの権利など、それぞれが関心を持つ問題に対して積極的に声を上げています。意見の量や質に違いはあっても、そのすべてが蓄積されることが、社会を変革するために不可欠だと感じます。
これから私も、その意見を述べることができるよう、政治や社会問題への意識を高めていければと思います。