スウェーデン・リンシェーピン大学に留学

Hejhej!
法文学部人文学科ヨーロッパアメリカ文化コースで英語学を学んでいる4回生です。
2018年の8月1日から2019年6月14日までスウェーデンのリンシェーピン大学に留学していましたのでそのお話をします。

なぜスウェーデンに留学したか

一番大きい決め手はスウェーデンが私の専門である英語史の勉強が一番できる環境だったことです。英語と同じゲルマン語派に分類されるスウェーデン語を学ぶ機会があることは英語学を学ぶ人間にとって非常に価値のあることでした。さらに、北欧は言語学の研究が盛んであり、留学先の大学にも言語学の研究をしている教授が多くいらっしゃいました。
スウェーデン語を学んでみると、同じゲルマン語派に分類されるドイツ語や英語と言語学的に近い特徴・深いかかわりを歴史的に持っていることが体感的にわかります。同じ語派に分類される言語を学ぶことはそれぞれの言語を勉強する際に相互に良い影響があるように思います。(ちなみに、留学先を決める際にはドイツとスウェーデンが候補としてありましたが、ドイツ語であれば鹿児島でも学ぶ機会が多くありました。実際、3回生の時に一年生と一緒にドイツ語の授業に混ぜてもらって、ドイツ語を勉強していました。留学するなら鹿児島で勉強するのが難しい言語を学ぼうと考え、スウェーデンに留学することにしました。)

もう一つ大きな理由として、英語を勉強することができる点がありました。スウェーデンは第二外国語で英語を話す国の中で最も英語力が高い国として知られています。実際に英語力は非常に高く、生活するときにも、授業を受けるときにも英語だけしか話せなくても全く不便をすることはありませんでした。スウェーデン語以外の授業では多くの授業が英語で開講されており、英語もスウェーデン語も勉強することができることは留学前からわかっておりました。このように英語とスウェーデン語の二つの言語を学ぶことができる点も非常に魅力的な点でした。

留学先を決めるときのtips

英語圏以外で母語英語話者と一緒に勉強すれば英語も学ぶことができます!
英語を学びたいからという理由で英語圏からしか選ばないのはもったいないです。
英語を習得したいのであれば、英語を学ぶために留学するのが近道のように見えますが、英語を使って自分の専門を勉強できるところに行くのも良い選択肢だと思います。なぜなら、英語を習得するために勉強するよりも、英語を使って何かを習得する方が英語を手段として用いているために自分が必要な能力を集中して習得することになり、結果として英語力の向上に繋がると考えるためです。それほど英語力に自信がないという方は、英語の授業を留学生にも開講している大学の中にはアカデミックな英語の書き方を無料で教えてくれるところもあるようなので、活用されると良いかと思います(留学先の大学にはありました)。

授業

一コマ3時間の授業が基本で、授業は曜日・時間ともに固定ではなく授業内容や学生との都合で変動するため、毎日オンラインでタイムスケジュールを確認していました。
内容は非常にレベルが高く、常に勉強をする必要があります。大学も学生証があれば24時間大学に入ることができ、遅くまで勉強することができます。(図書館は24時間ではありませんでしたが、勉強する場所は寮内にも大学構内にも多く用意されています)

一方で、スウェーデンのアクティブラーニングをする授業では森林の中に入ってアクティビティをしながら学ぶ授業や、雪山に行ってスキー体験をする授業、自分たちでストーリーから小道具まですべて用意して劇を完成させる授業などユニークなものも多くありました。単に学ぶだけでなく様々な国からの留学生と交流することができる授業もある点は、アクティブラーニングが浸透している国らしい特徴だと思います。(私は参加していないのですが、とても人気のある授業だったようなので紹介します)

実際にどのような授業を受けることができるかをご自分で確認されてから留学するのが良いと思います。その方がなぜ留学しているのかという目的がはっきりしやすいです。私の友達は心理学を専攻していましたが、留学先の大学では心理学は大学院生向けの講義しか開講されておりませんでしたので、留学先の大学では心理学を一切学ぶことなくbusiness ethicsなどの授業をとっていたようです。彼は心理学以外の学問にも目を向けたいと考えていたため、そのような理由で留学するのであれば自分が興味のある学問に手を出してみるのもありかと思います。ただ、先述の通り、授業内容は専門で勉強してきた身からしても難しい内容であることも多々あるので、知識を十分につけてからいかれるか、ベーシックの授業を取られると良いかと思います。

週末

Linköping大学は現地の学生と留学生の交流が非常に盛んで、現地の学生団体が留学生を連れてオーロラを見に行くツアーやフィヨルドに行くツアーを企画してくれます。日本からではなかなか行けない場所に、低額で行けるのは大変魅力だと思います。
大学がある街はスウェーデン国内で5番目に大きな都市と言われており、自然豊かななかにも交通は非常に発達していて不便を感じることはほとんどありません。そのため、バスを使って空港まで行ってヨーロッパに旅行することも簡単にできます。
ただ、課題は非常に多いので、週末の楽しみのために平日は必死に頑張る必要があります。レポートの提出は基本的にネット上で行われるので、旅行先でレポートを書いて提出することもできます。私自身ノルウェーでレポートを書いて提出したことがありました。

最後に

留学をしてよかったことは何ですかという質問に対して、「価値観が変わった」と答えるシーンはよく見られます。しかし、これだけだとどう変わったのか聞いている側は全くわかりません。価値観は本当に変わると思うのですが、そりゃそうだろうと私は思います(笑)
スウェーデンは北欧の国でかなり発展している国です。日本人として育った私はカルチャーショックの連続で、こんなにも違うものかと思うことも多々ありました。(スウェーデン人は内向的な国民性から日本人に似ているとインターネットで書かれているものもありますし私もそう思いますが、それでもカルチャーショックはあります)
私が受けた一番大きな価値観の変化は、年齢はただの数字であるということです。大学を4年間で卒業しなければいけないとか、大学卒業したらすぐ就職しなければいけないとか、「〇〇歳の頃には~しなければいけない」という考え方がかなりフレキシブルになりました(そういいながらも私は就職するのですが)。
日本で生活しているときはどうしても生き急いでいたように思います。スケジュール帳は文字通り予定でびっしりになっていて、自分の人生について考える機会がなかったように思います。どういうふうに生きたいのか。何をすることが幸せか。自分はどういう人間なのか。。。
おそらく留学に行く前の皆さんも同じように忙しい日々を送っておられるのだろうと想像しております。私は大学を卒業する前に自分に向き合う機会として留学があったことにとても感謝しています。それは留学中に得られた一番大切でかけがいのないものだったように思います。

今目の前にあるレールについて、じっくり、じっくり考える時間はありますか?
自分が乗りたくて乗ろうとしているのか、
ほかのレールを見てそれにすると決めたのか、
そもそもレールじゃなくて徒歩で歩くのもいいんじゃないかとか…
そういうことを考える機会が常にあるのが留学です。

私の留学を端的に表すなら、
考えて悩んで、いろいろな人と話をした留学だったと私は考えているのですが、その結果自分の進路が180°大きく変わりました。
この機会を与えてくださったすべての方に感謝申し上げます。