マレーシアでの寮生活を通して感じたコミュニケーションの大切さ(マレーシア・プトラ大学)

Selamat petang!

2023年10月からマレーシアプトラ大学(UPM)に留学している、法文学部人文学科多元地域文化コース3年の渡邉望未です。今回のブログでは、私が寮生活を通して感じた、コミュニケーションの大切さについて書いていこうと思います。

 イスラム教が国教であるマレーシアは、人口の約6割がムスリムの国で、イスラム文化が国の文化や生活に深く根付いているなと感じます。例えば、礼拝の時間になるとアザーンが聞こえてきたり、スーパーに売られている食材のほとんどにハラルマークがついていたり、レストランの前にハラルかノンハラルかの看板があったり、大学での服装が決められていたり、私の寮ではアルコールや豚肉の持ち込みが禁止されていたりします。

▲写真1 マクドナルドに貼られているハラルマーク

▲写真2・3 食品だけでなく、ペットボトルの水にもハラルマークがついています

▲写真4 大学の服装の決まり

その分、鹿児島で生活していた頃と比べると、イスラム教が身近に感じられるようになりました。特に私の場合、寮の同じユニットに住む半分以上の人がムスリムなので、一緒に生活し始めた頃は、彼女たちの習慣に驚きました。私の生活習慣がガラッと変わるようなことは特にないのですが、毎朝お祈りのために6時にアラームが鳴ったり、私がご飯を食べたり勉強したりくつろいだりしている横や背後でお祈りをしたりする姿には驚きました。もちろん、ムスリムが1日5回お祈りをすることは知っていたのですが、彼女たちがお祈りをしている時に自分はご飯を食べていてもいいのかな…とか、気になったり、気を遣ったりするようになりました。今考えると気になった時に彼女たちに聞けば良かったのでしょうが、宗教のことをどこまで聞いていいのか分からず、聞けませんでした。

 そんなことがあったり、ルームメイトとの会話が減ったりするうちに、部屋の居心地が悪いなと感じるようになりました。会話が減り始めてから自分が彼女たちの気に触ることをしてしまったのではないか、自分とは一緒に生活したくないのではないかとずっと考えていました。そのため授業が終わってもすぐに寮に戻らず、図書館で時間を潰したり、休みの日は友達と遊びに出かけたりし、寮で過ごす時間を意図的に減らすようにしていました。そんな時に隣のユニットに住む中国人の友達から自分のユニットに空きがあるから移動しないかと言われ、少しでも気軽に話せる相手と住みたいなと思い、移動したいと思いました。しかし話をよく聞くと、友達のユニットに住んでいるのは中国人だけで、“空いている”というのは3人部屋にあと1人住めるということでした。この話を聞いた時、移動したいなという気持ちと今でさえ同じ国から来ている2人組と仲良くできていないのに、移動先も3人部屋で2対1の状況であること、普段仲良くしている友達も中国人が多く、寮でも中国人となると、せっかく多様性を感じられる国に来ているのに意味がないのではないかという気持ちですごく迷い、いろんな人に相談しました。相談を通して、部屋を移動する・しないにしろ自分の気持ちを伝えてみたり、話しかけてみたりしようという気持ちになり、自分からルームメイトに話しかけてみました。すると2人とも笑顔で話してくれました。その様子を見て、「私のことが嫌いというわけではないのかな」と感じ、次第に部屋に居づらいなとは思わなくなりました。最近は時々ですが、話すようになりました。私の悩みが完全に晴れたわけではなく、自分の気持ちの持ちようが変化したという感じですが、きっと今までの私なら嫌なこととは向き合わずに、友達のユニットにすぐ移動していたと思うので、一歩踏みとどまって考えるようになったのは自分の成長なのではないかと思います。私のルームメイトは1学期間のみの留学でもう少しで帰国する予定なので、彼女たちと過ごす時間を大切にしたいなと思います。

▲写真5 ルームメイトとの写真

この経験から日頃からコミュニケーションを取ることの大切さを実感しました。私はUPMでコミュニケーションに関する授業をいくつか受けています。特にBasic Communication Strategyという授業では、本音で話したり、真摯な態度でいたり、笑顔でいたりすることで信頼関係を築き、より良いコミュニケーションにつながるということを学びました。

 改めて自分の行動を振り返ると、違う文化圏同士だからこそちゃんと言葉で伝えなければ伝わらないのに遠回しに避けてしまっていたなとか、何か気になった時に聞いていたら、悩むようなことはなかっただろうし、気軽に話せる雰囲気も作れたのではないかなと思います。相手の気持ちを察し合うことは相手を傷つけないようにしたり、円滑な人間関係を作れたりするかも知れないですが、自分の思い込みだけで行動してしまったり、相手のことを知るチャンスを失ったりする可能性もあることに気づきました。だからお互いのことを理解し合い、信頼関係を築くためにも、日々のコミュニケーションは大事だなと考えるようになりました。

 私の留学生活は7月まで続く予定です。これからもいろんな人と出会い、いろんな人と関わることがあると思います。その時に自分の思い込みや勘違いで相手のことを判断するのではなく、話してみることを大切にしていきたいなと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました。Terima kasih!!