Aloha nā haumana!
みなさん、こんにちは。2023年8月からハワイ大学マノア校に交換留学をしている、馬見塚優也(教育学部特別支援教育コース4年)と申します。ここでは、これまでの留学生活で学んだことや気づいたことについて紹介したいと思います!
身の回りにあるSpecial Needs
皆さんは「Special Needs(多様なニーズ)」という言葉を耳にしたことがありますか?初めてこの言葉を聞いた人もいれば、「バリアフリー」や「ユニバーサルデザイン」という言葉を想像した人もいるかもしれません。かくいう私はというと、特別支援教育(Special Needs Education/ Special Education)を専攻しているためSpecial Needsという言葉を大学の授業の中や教育における文脈において見聞きすることはありましたが、実際の生活の中で使ったり、意識したりすることはほとんどありませんでした。しかし、ハワイで生活をしていると、社会に中にあるSpecial Needsに気付く場面がいくつもあることを実感しました。そこで、ここでは私がハワイに来てから気付いた、私たちの身の回りにあるSpecial Needsについて実際のエピソードを交えながら紹介いたします。
街の至る所で意識されているアクセシビリティ
はじめに、アクセシビリティ(Accessibility)とは、「あらゆる物や場所等へのアクセスのしやすさ」という意味を表す言葉です。ハワイでは、大学や街を歩いていると日本に比べてアクセシビリティが高いと感じることがよくあります。
例えば、これは大学のある授業のクラスの中で見つけたアクセシビリティの一例です。このマークは、聴覚障害のある人あるいは聞こえにくさのある人に向けた聴覚補助システムが利用可能であることを示しています。
これらの写真は、大学のトイレで見つけたアクセシビリティです。大学にあるほとんどのトイレの入り口には、上のような車椅子のイラストが描かれたボタンがあります。このボタンを押すと、写真のように扉が自動で開きます。また、トイレの中はスペースが広くとられており、車椅子を使用する人もそうでない人も快適に使用することができます。
この写真は、ワイキキにあるABCストアというお店で見つけたアクセシビリティの例です。このお店では、お店の中の階段の横に車椅子を使用する人が利用可能な昇降機が設置されていました。このお店だけではなく、他のお店でもスロープや昇降機、エレベーターなどが設置されており、階段やエスカレーターを使用するのが困難な人々にとってアクセシビリティが高いことが分かります。
出典:ハワイ州公式ホームページ
(https://www.honolulu.gov/parks/beach-parks/beach-wheelchair-access.html)
最後に、これはハワイ州の公式ホームページに掲載されているアクセシブルビーチ(Accessible Beach)のマップです。このマップには、車椅子を使用する人でも快適に過ごすことができる設備が整っているビーチの詳細が描かれており、アクセシビリティが高いビーチはどこなのかを確認することができます。
ハワイの街中で見かけるアクセシビリティの高さから、私たちの身の回りには多様なSpecial Needsがあり、それを必要としている人がいるということを私はハワイに来て実感するようになりました。
選べる多様な食べ物の選択肢
ハワイで外食をする際、「この食べ物には肉類や乳製品が使用されていますが、大丈夫ですか?」と店員から質問されることがよくあります。渡米間もない頃、ソーセージを注文した私は「ソーセージにお肉が入っているのは明らかなのに、どうしてわざわざ肉が入っていることを確認されたのだろう?」と疑問に感じていました。あるとき、友人と食事をしている際にも同様のことがあり、友人に「なぜ、どこのお店に行ってもお肉を使っていることを確認されるのだろう?」と尋ねてみました。すると、友人は「アレルギーの確認や、お肉を食べないようにしている人たちへの配慮のためじゃないかな」と教えてくれました。お肉以外のメニューやオプションがあることを伝えることでお肉を食べないようにしている人たちもそうでない人も安心して食事を楽しむことができるというお店側の配慮だったのです。こうしたお店の人とのやりとり以外にも、ほんとどのハワイのお店では「ベジタリアンミール」が分かりやすいように掲示されており、お肉や魚以外の選択肢が豊富に用意されています。
この写真は、大学のカフェテリアにある「ベジタリアンミール」のセクションです。カフェテリアの中でも、お肉や魚を使用した料理とそうではない料理は明確に分けられており、多様な選択肢の中から選ぶことができます。
このように、多様な食べ物の選択肢があることは「アレルギーがある」、「肉や魚以外を食べる」、「宗教上の理由から食べられないものがある」といった食事に関するSpecial Needsも実に様々であることを教えてくれます。
まとめ
このように、ハワイでは街の至る所にSpecial Needsに対応するための設備やサポートが備わっています。また、このような設備やサポートが身近にあることは、「私たちの身の回りにはSpecial Needsがあるということ」、「私たちにはSpecial Needsが必要であると訴える権利があるということ」に気づかせてくれます。それと同時に、「ハワイに来てから意識するようになったSpecial Needsを日本でも必要としている人はたくさんいるかもしれないということ」、「社会全体の支援やサポートが不十分であるがゆえに、こうしたSpecial Needsが顕在化していないだけではないのか」と考えるようにもなりました。今の日本が目指すべき多様な社会、インクルーシブ社会のお手本が、ここハワイにあるような気がしています。